横濱中華街には，香港路という小路があります。マスコミ登場回数の多い店や，人気店が集中していて，週末は行列があちらこちらに出現します。しかし，マスコミ登場回数の多寡や行列の長さなど私にとってはどうでもよいこと。要は，私に供される料理が美味しければそれでいい。

今回は，その香港路にあります《牡丹園》のレポートです。《牡丹園》もまた，マスコミ登場回数が多い店です。興味深いのは，実際にこの店で食事をしてきた人たちの評判がとてもよいということ。知名度や行列の長さを頼りに店を訪れ，期待外れであることが少なくないだけに，気になる存在でした。

そして，やっと《牡丹園》での宴会が実現しました。予約時のリクエストは，いつものように「化学調味料をなるべく使わないように」。料理内容については，お店で用意してあるひとり４千円のセットメニューをそのまま注文しました。

• 場 所：牡丹園
  
• 日 時：１９９９年４月１０日（土）午後５時００分〜
  
• 参加人数：８名
  
• 予 算：４，０００円（税別）
• リクエスト：予約時に化学調味料を使わないように指示した

1.前菜	2.魚翅湯	3.中華風茶碗蒸	4.豚挽肉のレタス巻

• １．前菜
  漬け物（泡菜）・叉燒・クラゲ・鷄唐揚げ（ケチャップソースつき）・鷄の燒き物・小魚の唐揚・トマト。漬け物は，酢の味が強すぎるとともに甘すぎるように思えます。クラゲは，肉厚な部分が使われ歯ごたえがあり旨いです。小魚の唐揚は，他店ではあまり見られず嬉しい一品でした。肉類は，消化試合的な感じです。
  最近，前菜を見直す動きがあるように思えます。菜香新館や大珍樓新館などでは，以前のおざなりなものから，”美味い”と言わせるものになっているところがあります。この流れを是非汲んでもらいたい。また，形式にこだわる必要などないので，「これは面白い！」というようなオリジナリティ溢れるものを提供して欲しい。
  
  
• ２．魚翅湯
  魚翅・椎茸・えのき・玉子のとろみスープ。はじめ，「魚翅なんか入っちゃいねえじゃん」と思っていました（写真にも，具があんまり写っていませんね）。しかし，それはスープのすくい方が間違っていたのです。ボウルの底の方にどっさりと溜まっていました。それも軸の太いやつです。食べるときは，よく掻き混ぜてから椀にとりましょう。
  
  
• ３．海鮮入り中華風茶碗蒸
  卵白でつくった茶碗蒸に家鴨と鷄の塩玉子と海老・帆立・貝柱・椎茸をトッピングしたもの。登場した瞬間，歓声が沸く。見た目もとても綺麗だ。味は，蛋白な味付けでダシがよく効いている。茶碗蒸に化学調味料を使うと無残な味になってしまうのが通例だが，今回はリクエストがよく守られていて，とても美味かった。ただし，塩味がやや効き過ぎの感がある。もう少し塩分を控えてくれたらもっと食べやすくなったことと思います。
  
  
• ４．豚挽肉のレタス巻
  予め形よくカットされたレタスに濃い目に味付けされた挽肉が乗っている。鶉とかでもやりますよね。大好きな一品。レタスのサッパリ感がとても素敵だ。
  ただし，この料理を食べている最中も，「海鮮入り中華風茶碗蒸」の話題で持ちきり。このため，影の薄いものになってしまった。「自分でレタスに肉を乗せて巻く」という行為は，けっこう料理に対する印象を強く残す。趣味の分かれるところだが，私なら自分で巻きたいと思う。
  
  

5.海鮮入りおこげ	6.ＸＯ炒飯	7.デザート（１）	8.デザート（２）

• ５．海鮮入りおこげ
  御存知おこげ料理。私はかつて一度だけ食べたことがあります。その時は，あまりよい印象はなかった。今回は，登場と共に，ジュウゥゥゥ・・・というＴＶで観た通りの展開。期待が膨らみます。具は，イカ・エビ・キクラゲ・白菜等など。味もなかなかに美味くてこの料理を見直しました。
  なお，使われるおこげに関して「もっと硬い方がよい」とか「ちょっと油っぽい」と言う意見がありました。私は，気になりませんでした。いままで２回しか食べたことがないもので，「よく判らない」というのが真実の姿でもあります。
  
  
• ６．ＸＯ炒飯
  ピリ辛味の効いたＸＯ醤を用いた炒飯。具は，叉燒とレタス。ＸＯ醤は，多分《牡丹園》自家製。香港の半島酒店で購入できるものに近い味。いや，半島酒店の方が油っぽいかな。レタスがアクセントになって，大変に美味いものでした。これほど美味い炒飯は久し振りです。
  
  
• ７．デザート（１）
  桃まんじゅう。小ぶりの綺麗な饅頭。美味しゅうございました
  
  
• ８．デザート（２）
  杏仁荳腐。これは私の好みじゃないな。もっと，トロッとした感じのものが好き。しかし，それは，趣味の問題。コースの締めくくりなので，こういうサッパリした感じの仕上がりが好きなひともいるのも事実だろう。
  

お店が通常用意しているセットメニューがこれほど多彩なもので構成されているのは，実に評価すべきことだと思います。特に，海鮮入り中華風茶碗蒸は私たちにとっては”ニュース”ともいえるほどのものでした。
味付けは，全体的に”淡味”を心がけているようです。味付けが異様に濃い店が多いなかで，これも他店と一線を画すものです。
また，今回は座敷で大変に寛げましたし，お店の方もとても親切でした。家族や親戚の集まり，友達が揃ったときなどに最適な店であると思います。
今後も，他店との差別化を一層推進するような料理の提供を続けて欲しいものです。
遅れ馳せながら，《牡丹園》の評判は納得できるものでした。

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LAST MODIFIED 11/Apr/1999 MAINTAINED BY T.K.

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