横濱中華街光臨指南・番外編
$福臨門魚翅海鮮酒家・東京店$
☆★☆ ”福臨門料理”を楽しむ ☆★☆
《福臨門魚翅海鮮酒家・東京店》は，横濱中華街の店ではなくて香港に本店を置く廣東料理店の支店である。《福臨門》は，廣東料理店の最高峰のひとつと目されている店で，実際，香港の名だたる高級廣東料理店のうちの何店かの料理長が福臨門出身だったりすることは，この料理店の影響力を如実に物語っていると言わざるを得ない。
今回は，新年会でもあるのでいつもより少し贅沢をすることにした。お店側もこちらの期待を上回るものを提供してくれました。乾貨（乾燥食材）を大量に使用した，いかにも福臨門らしい料理の連続である。
☆★☆ データ ☆★☆
- 場 所：福臨門魚翅海鮮酒家・東京店
- 日 時：１９９９年１月１６日（土）午後６時〜
- 参加人数：１１名
- 予 算：特別価格のため非公開といたします（格安チケットで香港往復してお釣がくる位）
☆★☆ 料理 ☆★☆
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| 1.什錦併盆 |
2.菜胆菰膠燉鳳呑裙翅 |
3.菜胆菰膠燉鳳呑裙翅 |
4.菜遠炒鴿片 |
- １．什錦併盆（併は，本当は手偏）
クラゲ・牛脛肉・家鴨の舌・家鴨水掻き・トマトの盛り合わせ。それなりに美味しいものだけれど，特筆すべきものはなかった。
- ２-３．菜胆菰膠燉鳳呑裙翅
白菜・魚の浮き袋・日本産ドンコ・フカヒレ（頂裙翅）を龍崗鷄に詰めて二重蒸しにしたスープ。
白菜の甘さがなんとも言えず美味である。また，魚の浮き袋の艶めかしさもなかなかのものだ。軸の太い魚翅をまるで蕎麦のように食らう贅沢。
- ４．菜遠炒鴿片
鴿の炒めと芥蘭の炒め。まわりに添えられているのは，香港中環の《陸羽茶室》名物・燒蜜銭雲腿が添えられている。
福臨門の鴿料理全般に言えることだが，なんでこんなに美味いのか？といいたくなるくらい美味い。味が濃くって，香りもよい。他の店だとなぜかこうはいかないものだ。
私の経験では，陸羽茶室の鴿料理が福臨門と互角の美味さである。私の知人の話では，龍華も優れているとのことだ。いつか行きたいものだ。
燒蜜銭雲腿は陸羽茶室の方が遥かに上をゆく味でした。塩っぱ過ぎた。
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| 5.蠣皇鮑魚果子狸 |
6.碧緑竹笙官燕巻 |
7.香茴高湯浸老鼠斑 |
- ５．蠣皇鮑魚果子狸
干鮑魚と果子狸の煮込み。干鮑魚は，３頭（２００グラム）の禾麻３個が使われている。干鮑魚の味は，店毎にその戻し方が異なる。福臨門のは，中が”半生”ではないか？という感じの戻し方だ。齧ると，海を感じさせる味と香りが口腔にひろがる。「あ，この鮑は，海草をいっぱい食べて育ったんだな」というのが判る感じだ。
また，干鮑魚は大きい方が味がいいようだ。もし干鮑魚を試されるのなら，なるべく大きいものにするのがいいだろう。
果子狸は，本場では冬の味覚として親しまれているのだそうだ。フランス料理のジビエ料理に相当するとよくいわれる。以前に試した羊の煮込みに似たところがあり，とても美味かった。
- ６．碧緑竹笙官燕巻
キヌガサダケに燕の巣を詰めて上湯を吸い込ませたもの・荳苗添え。驚くほどギッチリ詰められた燕の巣が嬉しくなってしまう一品。よくかんで滲みでる上湯を楽しむ。コリコリとした燕の巣の歯ごたえ。脳髄にまで響くこの感触。幸せの極み。また，荳苗も味が濃くて素晴らしい。
- ７．香茴高湯浸老鼠斑
ネズミハタをスープに浸して蒸したもの。いつも”清蒸”ばかりなので，違う調理にしてもらうように指示したもの。”清蒸”よりも肉に味が染みていてなかなかに美味いものとなった。魚は，骨までしゃぶりつくしてやりました。
なお，タレはご飯にかけて食べました。蒸した魚を食べる時の基本動作です。
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| 8.姜葱[火局]羔蟹 |
9.[月昔]味[保/火]飯 |
10.椰[中/皿]燉雪蛤膏 |
- ８．姜葱[火局]羔蟹
羔蟹のぶつ切り葱生姜風味蒸し焼き。羔蟹は，肉蟹に良く似た味での肉の香もすばらしくよい。また，驚くほど沢山のたまごを抱えているのだが，残念ながら火の通り過ぎであまり美味しくない。恐らく，たまごよりも蟹肉を食わせることが目的なのだろう。
- ９．[月昔]味[保/火]飯
中国腸詰の炊き込みご飯。私に供された碗は，タレのかけすぎで塩辛くて食えない。いったい何を考えているんだろう。もちろん，白い飯を追加して中和してもらった。中国腸詰は，バサバサ。硬くて香りもよくない。これを客にだしたら，普通は怒ってテーブルをひっくり返すところだろう。
- １０．美點双輝（左）椰[中/皿]燉雪蛤膏（右）
カエルの輸卵管上部の脂身を具にした，温製ココナッツスープ。器は，ココナツの実そのもの。薬効溢れるデザートだ。とても美味しい。
なお，メニューでは”雪蛤”のことを「カエルのホルモン」と表現してあった。他の店では，「カエルのコラーゲン」と表記しているところもある。ホルモンってなんか違う気がしないでもない。
美點双輝は，中国菓子二品。なんだか，特徴もなくて美味しいとは思えなかった。もっと，ガツンというものを出して欲しいものだ。
◆ひとこと
福臨門は，コースで食べると必ずテンションの低いものが含まれるのは悪い癖だ。福臨門が出す料理の平均点の高さは尋常ではないのだが，他の店でも気合いを入れたときの宴会料理は，福臨門の”平均点”を凌ぐ料理をだす店はもはや少なくない。
今回は，他の料理店なら少なくとも１０回は宴会が張れる料金を投入している。接待で自分のフトコロがまるで痛まない客ならいざ知らず，自腹を切って福臨門にやってくる客もいるのだということを忘れないで欲しい。自腹組は，相当な期待をもって店に赴くのである。一品たりとも，失敗などして欲しくはない。たったの一品で，評価がガクンの下がってしまうのは，福臨門としても不本意に違いない。
私は《福臨門》に高いレベルのものを要求している。何故なら，広東料理店の頂点に君臨するという評価を維持し続けてもらいたいからだ。今後も期待している。
◇◆◇ 福臨門魚翅海鮮酒家 ◇◆◇
東京都中央區銀座６丁目１３−１６
銀座ウォールビル１Ｆ２Ｆ
phone:03-3543-1989 fax:03-3543-1711
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