横濱中華街・福建路に《東林》という北京料理店がある。材料の下ごしらえ・調理ともに丁寧で、とりわけ、”揚げ物”の技術は、横濱中華街でもピカイチである。また、接客態度も大変によい。

《東林》は、よく”日本人好みの味付け”だと言われる。しかし、こういう表現を《東林》に対して使ってよいのかは疑問だ。というのも、”日本人好みの味付け”というのは通常、『異様に濃い味付け』『異様に脂っぽい調理』を意味するからだ。そう、多くの日本人が中国料理に対して持っているイメージは、日本の中国料理特有のものだと考えてよい。歴史の中で日本人が要求して、作り上げてしまった味だ。
本場の中国料理の美味しさを知ってしまった人たちが、この表現を使うとき、しばしば、侮辱的な使い方がされる。

さて、《東林》の味付けに話をもどそう。《東林》の料理は、本場の味付けとは違うということは、明らかである。しかし、年寄りから子供まで万人に愛される味であることも、まぎれもない事実である。

今回食べてきた料理は「メニューに載っていないような料理はないか？」というリクエストに応えて出てきた福建料理である。《東林》は北京料理を看板にしているので、本来は北京料理を食べるべきだが、たまにはいいだろう。店長のお婆ちゃんが福建の人なんだそうだ。まさしく、家庭料理である。

• 場 所：東林
  
• 日 時：１９９８年４月４日（土）午後６時００分〜（予約なし）
  
• 参加人数：２名
  
• 費 用：ひとり２，５００円（税別）
  
• 備 考：オーダー時に「化学調味料を使わないように」とリクエストを添えた

1.紅糟肉	2.炒時菜	3.淀粉

• １．紅糟肉
  隠しメニューの福建料理の一つ。老酒の酒糟”紅糟”を使った豚肉の炒め物。どうやら豚肉は味噌漬になっているものを使っているようだ。見た目は、真っ赤なので辛そうに見えるが、さっぱりした味わい。ごはんがすすむ。
  
  
• ２．炒時菜
  「今日の入っている野菜は何ですか？」という質問に対して、「小松菜とター菜」ということだったので、ター菜を軽く炒めてもらった。《東林》は、野菜炒めまで旨い。
  
  
• ３．淀粉
  隠しメニューの福建料理その二。トロミのあるスープに牡蠣・蝦・ニラその他いろいろ入った、かなり癖のある香りのスープ。福建料理といえば、このニオイがつきもの。好きな人にはたまらない。本来は福建海苔を入れるところなのだが、予約なしだったもので準備していなかったようだ。しかし、それを越えて旨いスープだ。
  
  

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LAST MODIFIED 10/Apr/1998 MAINTAINED BY T.K.

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