《彩龍》は，横濱中華街の店ではなくて，ＪＲ横浜駅西口にあるヨコハマシェラトンホテル ＆ タワーズのなかの中国料理店である。クリスマス時期ということもあって，ほんの少しだがオシャレをしてでかけた。たまには仲間内でドレスコードを決めて集まるのもいいものだ。
もちろん，この店に厳格なドレスコードなどはない。だからといって，店の雰囲気を壊すような服装ででかけていいというものでもないだろう。普段なら，ちょっとキレイめの格好がいいのではないだろうか。

• 場 所：彩龍（ヨコハマベイシェラトン ＆ タワーズ）
  
• 日 時：１９９８年１２月２０日（日）午後６時３０分〜
  
• 参加人数：９名
  
• 予 算：特別価格のため非公開といたします（だからって決して安い値段ではないです）。
  
• リクエスト：”客は，全員華僑である”と予約時に伝えたんだそうだ。もちろん，大嘘である。９人の内８人までが日本人だ。しかし，このくらい言わないと，本場の味付けの興味深い料理はなかなか楽しめないのも事実。このくらいの嘘は，神様も許してくれるだろう。
  

1.セッティング	2.紹興酒	3.喜來登併盤	4.雪蛤龍蝦翅

• １．セッティング
  ホテルらしく，彩りが綺麗である。もちろん，箸は象牙ではない。
  
  
• ２．紹興酒
  なんて綺麗なグラスなんだろう。ホテル系の料理店にあまり行かないので，こういうちょっとした演出にもすぐ感動したりする。
  
  
• ３．喜來登併盤（いつもどおり，併は本当は手偏）
  前菜の盛り合わせ。潮洲式なんだそうだ。牛[月展]・燒肉・燒鴨・海[折/虫]・タチウオが盛り合わせになっている。お好みで，梅ジャムか海鮮醤をつける。
  ありがちなように見えるが，ひとつひとつがとても美味い。とりわけ，燒鴨に梅ジャムをつければ，瞬時に思い出す味がある。香港・中環の美味しかった頃の《[金庸]記》の燒鵞である。家鴨と鵞鳥との違いはあるけれど，日本でも美味しい燒きものがあるというのは心強い。
  
  おざなりの前菜が多いなか，これだけのものをだしているというのは，これからでてくる料理が期待できるということでもある。
  
  
• ４．雪蛤龍蝦翅
  ひとりずつ器に盛られた魚翅スープ。固形燃料付。蓋を開けると沸騰している。具には，雪蛤（カエルの輸卵管上部の脂身）・イセエビ・魚翅が使われている。魚翅は，香港でいうところの散翅がたっぷりである。そして，注目すべきは味付け。なんとトマトベースの味付けである。なんとなくイタリアンを彷彿させる味付けだ。酸味が心地よく，面白いものが食べられた。
  ホテルで食べる中国料理らしい一品。ただし，演出過剰。これは趣味の問題ですけど。
  
  

5.象抜炒蝦腰	6.象抜炒蝦腰	7.酥炸脆生蠣

• ５-６．象抜炒蝦腰
  ミル貝・蝦・黄ニラ・芥蘭の炒め物。ひとくち食べて感じたのは，香港の材料の良さが自慢の高級店での海鮮料理。余計な味がしないのだ。《彩龍》は，海鮮に力を入れているのだろう。
  
  
• ７．酥炸脆生蠣
  大きな蠣をサクサクに揚げたテンプラ。塩・ケチャップ・リーペンリーソースで食べる。濃厚な蠣の味がテンプラという調理法によって閉じ込められた固まりを食べるという感じといえば伝わるだろうか。調味料は，塩で食すのが一番美味いようだ。
  
  

8.秘製東山羊	9.秘製東山羊	10.秘製東山羊	11.秘製東山羊

• ８−１１．秘製東山羊
  本日の白眉。山羊・棗・日本産ドンコ・中国クワイ・竹の子・湯葉巻・ほうれん草・ミニチンゲンサイの土鍋煮込み。サーヴィス担当者曰く「初めてみる料理です」。
  これは，廣東の田舎料理なんだそうだ。現地で食べる山羊は結構ニオイにクセがあるのだそうだが，今回食べた料理は嫌なニオイなど感じさせませんでした(実は，私はマトンなどの獣肉のニオイを不快だと思っていないのである)。ひとによってはやはり苦手かもしれない。
  味の方も素晴らしいの一言。よく煮込まれた肉・クワイの歯ごたえ・棗の甘さ・煮込む前に揚げることで，味が閉じ込められた竹の子の味と歯ごたえ・味を吸い込んだ湯葉巻・・・具の全てが主役だ。ご飯がぜひとも欲しくなる一品である。
  
  こんなに地味にして滋味溢れる力強い料理をホテルのレストランで食べられるなんて！私は，ホテルの中国料理に対する偏見を改めなければならないことを痛感した。
  
  写真８は，鍋に入れる具。同９に具を入れ暫く蓋をして煮込んだ後の姿が写真１０になる。
  
  
  

12.姜酒芥蘭遠	13.臘味[米需]米飯	14.蘋菓[火局]布甸	15.彩龍美點心

• １２．姜酒芥蘭遠
  色の濃い芥蘭の炒めもの。みたとおり野味溢れる濃厚な緑の味。バキッっと豪快に食べる快感。蠣油がついてきたが，なにもつけない方が全然美味い。
  
  
• １３．臘味[米需]米飯
  腸詰ともち米の炒飯。薄焼き玉子が載っているのがなんともホテルらしい。作ってから時間が経っているのだろうか？妙に脂がまわっている。味付けは，先日も食べてきたばかりの味付けで新味に欠けるのが残念。これは，料理店の責任にはあらず。
  
  
• １４．蘋菓[火局]布甸
  林檎を刳り貫いたものを器にしたタピオカ燒プディング。これまた，サーヴィス担当曰く「これを見たのは，二度目です」とのことだ。ほのかな酸味と甘さを抑えた味。これは，好きだね。美味しいですよ。
  
  
• １５．彩龍美點心
  擂沙湯丸と炸[女乃]皇包。前者は，すり胡麻（黒！）をあんにした白玉団子を茹でたものに砕いた落花生ときなこをまぶしたもの。後者は，玉子の黄身と鹹蛋を合わせたあんの饅頭を見事なまでのパリパリに揚げたもの。両方とも美味しかったが，特に後者の皮のパリパリ感が素晴らしい。味だけでなく歯ごたえの素晴らしさよ。
  

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