横濱中華街・上海路にある《桃花》は，横濱中華街で老舗の北京料理店《華正樓》が新展開した店で，従来の”接待系”料理店とは一線を画すものです。店の外観内装ともに，中国色を感じさせないトラットリア風。唯一ネオンサインだけが，”西洋人のイメージする東洋色"を強く打ち出し，そのコントラストの面白さを演出しています。

今回は，《桃花》が看板とする江浙料理を楽しむ宴会です。ちなみに江浙料理とは上海周辺の料理のことなんだそうです。詳しい分類がわかりませんので，それ以上のことは不明です。

• 場 所：中國江浙菜・桃花
  
• 日 時：１９９８年１０月１０日（土）午後６時００分〜
  
• 参加人数：７名
  
• 予 算：ひとり５，０００円（税・サ別）
  
• リクエスト：
  「全品江浙家庭料理のコースにすること」
  「エビチリ・酢豚といったあまりにも慣れ親しんだ料理は出さないこと」
  「化学調味料は，できる限り使わないこと」
  

1.銀絲[折/虫]皮	2.涼拌干絲	3.双冬[火考]麩	4.美味薫魚

• １．銀絲[折/虫]皮（クラゲの冷菜）（前菜)
  
• ２．涼拌干絲（干し荳腐の和え物）（前菜)
  
• ３．雙冬[火考]麩（タケノコと中国生麩の醤油煮）（前菜)
  
• ４．美味燻魚（マナガツオの唐揚）（前菜)
  前菜は，盛り合わせでなく小鉢に分けての供された（５品）。こういう形態で供されると，新鮮なイメージがします。
  皮蛋は，干からびた感じがして美味しくありませんでした。しかし，その他のものは，なかなかに興味をそそられるものがでてきました。美味燻魚（マナガツオの唐揚）は，なんと『お菓子の太子堂』の”のしいか”に近い味。とても懐かしい味です。雙冬[火考]麩（タケノコと中国生麩の醤油煮）もやや味が濃いものの，味がよく染み込んでいて美味しいです。とりわけ，私は，干し荳腐をそばのように細切りにした涼拌干絲（干し荳腐の和え物）が気に入りました。
  

5.皮蛋	6.獅子舞	7.獅子舞	8.醤油醉蟹

• ５．皮蛋（自家製タレ付）（前菜）
  皮蛋は，干からびた感じがして美味しくありません。また，タレがしょっぱすぎます。ご飯と一緒に食べるのなら，このくらいが丁度いいのかもしれません。必要であれば，ご飯を注文した方がいいようです。
  
  
• ６〜７獅子舞
  １０月１０日の横濱中華街は，臺灣の建國記念日「雙十節」を祝う行事の一環として，獅子舞が中華街を練り歩きました。ちょうど食事の時刻に獅子舞が店内にやってきました。偶然とはいえ，とても運がよかった。とっても，得した気分になりました。
  
  
  
• ８．醤油醉蟹（酔っ払い蟹醤油風味）
  ウニを食べているような感触の醤油漬け。ややショッパイと思ったが，ご飯と一緒に食べるのが本筋かもしれない。そう思えば，このくらいでよいのかな？生臭さが全くない。
  ちなみに，上海蟹を使った醉蟹は，何週間も漬け込んだものを食べたりするのだけれど，この醤油漬けは３〜４日でできてしまうんだそうだ。
  
  

9.蟹肉魚翅湯	10.龍井蝦仁	11.生煎包	12.葱[火考]排骨

• ９．蟹肉魚翅湯（蟹肉いりフカヒレスープ）
  蟹肉入り魚翅とろみスープ。これは江浙家庭料理か？と疑問だらけの一品。濃厚な味付けで煮込んであり，散翅・蟹肉・えのき茸がはいっている。なかなかに，優れた味だ。コースでよくあるものとは別物と考えて欲しい。
  
  ◆ 蟹肉魚翅湯あまりにも異質な一品なので，マネージャーに尋ねたところ面白い話が聞けました。
  「他の料理が安すぎるので，魚翅湯を入れないと金額的にバランスがとれないのでいれさせてもらった」
  「はじめは（桃花では）魚翅湯はやるつもりではなかったが，華正樓の常連さんがこれを出さないと満足してくれないんです」
  とのこと。ひとり5,000円の予算が多すぎるなんていうのがお店の方から聞けるとは驚きです。”5000円では，足りない”というのは，よく聞きますけど。
  
  
• １０．龍井蝦仁
  小蝦の龍井茶葉炒め。上海料理の名品。冷凍蝦であることがとても残念だが，この予算では贅沢は言えない。茶葉の苦みもいいものだ。活きた蝦だったらどれほど美味いことだろう。
  この料理をリクエストされる方は，多少の多めのお金を払ってでも活きたものを使ってもらうといいだろう。もちろん予約が必要となります。
  
  
• １１．生煎包
  これまた上海名物の焼き饅頭。それなりに美味いものだったが，残念ながら中が冷めている。《桃花》の點心は注文を受けてから作るという非常に良心的なことをウリにしているにもかかわらず，テーブルに運んでくるまでに時間が経ってしまったら価値も半減。この件に関しては，改善するように要請した。
  
  
• １２．葱[火考]排骨
  画像がぼやけてしまって申し訳ない。骨付き豚肉の葱入り煮込み。味，メッチャ濃いです。好き焼きが煮詰まった味と表現すればいいのだろうか。ご飯がなくては生きていけない。あるいは，この煮込みに饂飩をいれたら，なかなかに美味いものになるだろう。
  この味の濃さは日本人向けに濃くしているのかと思い問合わせてみましたが，そうではないんだそうです。やはり家庭料理ということで，ご飯が必要なんだと思います。
  
  

13.芥蘭牛肉絲	14.砂鍋芋頭	15.酒醸圓子	16.西米露

• １３．芥蘭牛肉絲（蟹肉いりフカヒレスープ）
  中国産ブロッコリー（カイラン）と牛肉の細切り炒め。残念ながら何の魅力も感じられない一品。カイランは美味しい。
  
  
• １４．砂鍋芋頭
  里芋の土鍋煮込み。里芋を上湯で煮ただけのとてもシンプルな一品。この一品で本日の減点分はすべて帳消しにして名誉挽回。私は，こういう料理を望んでいるのだ。この路線を是非突き進んで欲しいものです。
  メニューにもこの手の料理が他にもありましたので，期待が持てます。
  
  
• １５．酒醸圓子（デザート）
  フルーツと白玉団子の温製デザート。フルーツの缶詰臭がハナに付き，折角の酒糟の風味が損なわれている。缶詰のフルーツでもなんとか処理すれば，このニオイを消せるのでないだろうか。あるいはフレッシュフルーツを使えばとてもいいものになるだろう。なんとか工夫して欲しいものだ。
  
  
• １６．西米露（デザート）
  タピオカのココナッツ風味の冷製デザート。あまり珍しいものではないけれど，美味しい一品でした。
  
  

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