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秋の気配を感じると，中国料理好きはじっとしていられない。なぜなら，上海から飛行機に乗って蟹がやってくるから。
今回は「上海蟹を楽しもう！」ということになって馴染みの店にお願いしたところ，お店のご厚意でとんでもなく豪華な内容になりました。そしてその美味さも，仲間内では既に伝説になっています。生涯語り継がれるものとなるでしょう。それほど，凄いものがでてきたのです。
お店の方の言葉を借りれば「手間がかかり過ぎて商売にならないから，もうできない」とのこと。従って，今回は店名は秘匿。この件に関していかなる問い合わせに対してもお答えしません。
もし，あなたが同じような体験をしたければ，ぜひお気に入りの店を見つけ，何度も通い詰め，お店との信頼関係を築いてからお願いしてみてください。必ず，お店は希望に応えてくれるでしょう。
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１．白切鶏
いきなり，予定外のメニューの登場。画像をみればただの蒸鶏です。しかし，ちょっと違うのだ。これは，この店の上湯を採るために寸胴に入っているダシ用の老鶏(通称マル）で，普通は客にだすことはなく，厨房での賄として消費されるのだということ。
肉はダシとして味が抜けているとかパサパサしているのではないかと想像するのだが，そんなことは全然なく旨みを濃厚に含んでいるのだった。タレとの相性も抜群である。
２．生醉大閘蟹
上海蟹を酒に漬けたもの。画像では，蟹味噌しか見えない。酒の芳香のすばらしさよ。蟹の甘みを引き出す絶妙な熟成の度合い。いつまでも食べていたい衝動。芸術的な一品。
３．清燉大閘蟹
上海蟹をダシに使った二重蒸しスープ。生醉大閘蟹が人の英知が作り出した芸術品なら，こちらは，神々の享楽。
その美味さは，深く力強い。香りは，煩悩の象徴か？このスープを毎年食べるために，私は一生懸命働き続けることになるだろう。完全に虜になってしまった。
なんとこのスープは，この店のオーナーが考え出した料理なんだそうだ。凄い！
４．椒鹽炸生蠣
牡蠣の揚げ物。牡蠣の味が濃縮されていて，全然水っぽくないのだ。下拵えにコツがあるんだそうだ。おもしろいなあ。
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５．芥蘭糟海皇
アイナメの紅糀炒め芥蘭添え。見事に脂ののったアイナメに紅糀で風味を付けたもの。
口の中でとろける旨み。香りも食欲をそそる。
６．[火局]醸大閘蟹
上海蟹の甲羅に蟹肉や椎茸や海鮮などを詰め，蒸し焼きにしたもの。蟹の玉子のトロミあんをかけて食べる。あの小さな上海蟹の蟹肉をふんだんに使ってある。いったい何ハイの蟹が使われたことだろう。ちょっと手間のかかり過ぎる料理だ。これをメニューに載せて客にだしたら，厨房はその機能が停止するに違いない。
７．清蒸大閘蟹
２００グラム級の蟹を急遽用意してくれました。普通なら，よっぽどの高級店でなければ揃わないでしょう。味もすばらしく，いままで食べた蒸し蟹で最上のものでした。
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８〜９．馬友煎鹹魚
いきなり「鹹魚（塩漬け発酵魚）があるからお見せしましょう。」ということになって，もってきたものは，４０ｃｍくらいの大きなものでした。それでもって，二切れほど焼いてもらいました。
１０〜１１．上湯瑶柱飯
貝柱風味で炊きあげたご飯に，上湯をかけていただきます。ちょうど，茶漬けみたいです。もう，唸りを上げるほどに素晴らしいものでした。これに，先ほどの鹹魚をひとかけら放り込んで食べるとこれがもう大変なんですから。感極まるというか，唸るしかないというか。本当に素晴らしいものとなりました。
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１２．蟹皇小籠包
上海蟹の蟹味噌を使った小籠包。熱いうちに食べました。旨みと香りが口いっぱいにひろがりました。
１３．双輝美甜點
南瓜包（南瓜饅頭）と薄餐というココナツ風味のあんがはいったお菓子。
１４．鮮牛[女乃]布甸
生姜風味の牛乳プリン。この日はうまく固まらなかったのだそうで，申し訳なさそうでした。少し甘みが強く思えます。この次は，うまく固まるといいですね。
