横浜中華街には，訪れる観光客をとり込むことを敢えてやらない（としか思えない）店がいくつかある。今回は，そんな店の宴会報告。どちらかと言うと，地元系の料理店だ。

観光客でごった返す中華街大通り中程に，やたらとレトロな看板を掲げる店がある。その名を海南飯店という。ショウウインドウの中の見本は，カラカラに干乾びて全然美味そうに見えない。店に入るとやっぱりレトロで，従業員もまたレトロだ。

ある日，思い立ってこの店で宴会を思いついた。ずっと宿題にしていた店なのだ。

料理は，予約時に天龍菜館で食べているようなお惣菜系廣東料理をメモにして持っていき，それをタタキ台にして店のおばちゃんと相談して料理を決定した。

はじめて行くような店では，店に任せきりだと店は何をだしたら客が喜んでくれるのか判らないので，当たり障りのない料理がでてきてしまうことが多い。そこで，客の側から「こんな料理が食べたい」と情報を店に提供することで，店にやりやすいようにする必要がでてくる。

客の食べたいものの傾向がわかれば，店からの提案もそれに沿ったものが提示される。あとは楽しいやりとりをして，宴会当日を迎えるだけである。

• 場 所：廣東料理　海南飯店
  
• 日 時：２００１年５月２０日（日）午後２時００分〜
  
• 参加人数：８名
  
• 費　　用：ひとり約５，０００円（食べ物・飲み物・座敷使用料・税込み）（税別）
• リクエスト：膨大な量のやりとりでしたので書ききれません。

1.ミノと野菜の炒め	2.炸田鷄	3.鹹蛋蒸肉餅	4.梅醤排骨	5.腐乳炒通菜

• １．ミノをカリフラワー・椎茸とともに炒めたもの
  「内臓料理をひとつ」というリクエストに対する店からの回答である。ニンニクと薄塩味を基調とした味付けで，弾力のあるミノの歯応えが愉快である。野菜も沢山使われていて飽きがこない。
  
  
• ２．炸田鷄（カエルの揚げ物レモン添え）
  「季節の食材を使った料理」というリクエストに対して，店からは「カエルはどうか？」という提案。荳[豆支]で炒めるか，揚げ物にするかという選択肢は私に任された。悩んだが揚げ物にしてもらった。肉に弾力があり，旨味も十分。実に美味い。
  ここで，注目しておいて欲しいのは店の側から「カエルはどうか？」と提案してきたことにある。私たちが，そういう料理を求める客であることを理解してくれたということだ。普通は，カエルをオススメしてくることはないと思う。
  
  
• ３．鹹蛋蒸肉餅
  豚肉ハンバーグの蒸し物塩玉子乗せ。当初，ザーサイを練り込んだものにするつもだったが，店から「塩玉子の方が絶対に美味い」との強い推薦があった。
  海南飯店では，塩玉子をペースト状に練ったものを豚肉に塗りつけて蒸してきました。塩加減もよく美味い。ご飯をリクエストしたのは言うまでもない。
  
  
• ４．梅醤排骨
  骨付きバラ肉を梅肉と共に煮込んだもの。店からのオススメでこの料理を入れました。酸味が爽やかで，口福が頂点に達しました。ご飯がすすみ過ぎて大変でした。
  
  
• ５．腐乳炒通菜（空心菜の腐乳炒め）
  季節野菜の炒め物ということで，当日までのお楽しみに。ニガウリか空芯菜になるだろうというお店の予言は，空芯菜となって実現した。宴会料理というと，野菜が少ないことがあるのだが，こういうふうに野菜が沢山でるのは，本当に嬉しいものだ。
  
  

6.白飯	7.清蒸魚	8.例湯	9.湯米粉

• ５．白飯
  ごはんの追加を頼んだところ，ドンブリに盛ってきました。実によろしい。ひとりどんぶり一杯ずつでもよかったかも。
  
  
• ６．清蒸魚（鰈の蒸し物）
  「安い旬の魚で蒸し物を」というリクエストで鰈が登場した。鰈は，身が蛋白すぎて，蒸し物には向いていないようだ。寧ろ，煮込みにしてもらったほうが旨味が引き出せることだろう。これは，次回の課題となった形だ。
  ちなみに鰈の卵巣にちゃんと皿に乗ってきた。こういう配慮は嬉しいものだ。そういえば，頭は凄く美味かった。
  
  
• ７．例湯
  「冬瓜を刳り貫いた蒸しスープ」をリクエストしたところ「冬瓜は少し早いし，蒸しスープはちょっとできない」とのことで，お店から「クレソンはどう？」との代替案をいただいたので，それに従う。
  蒸しスープは，何時間も蒸さなければならないので，海南飯店のような小さな店ではいろいろと都合が悪いのだろう。
  果して，ニンニク風味をつけたチキンスープに大量の蔓紫とクレソンが入ったスープが登場した。たった，それだけのスープなのだが，これがまた心まで温まる素晴らしいスープだった。
  
  
• ８．湯米粉
  予約時に取り決めた料理は，１〜７までで終了。心なしかモノ足りなかったので，汁ビーフンを注文した。野菜も海鮮も肉も叉燒も入った超具沢山のもので，これも嬉しくなる一品だった。
  

以上８品。超ナゴミの素晴らしい料理とひとときを堪能した。愛想のいいオバチャンたち，和みの座敷と意味のない壷の置物，穏やかな料理。それらの全てが私を癒してくれるのだった。

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LAST MODIFIED 21/May/2001 MAINTAINED BY T.K.

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