情報誌・YOKOHAMA Walker（2002No4）の春節特集を読んでいると、横濱中華街に昨年オープンしたばかりの龍門という店の厨師が福建出身であるという記事がありました。これは、重要な情報です。

情報誌のちょっとした記事のなかに、貴重な情報が隠されていることがあります。店の主張・考えがそこに書かれていることがある。「こんな料理に力いれてます」とか「こんな料理をはじめました」とか「どこそこの料理長に来てもらっている」とか「何でも相談してください」とか…

こういう情報を掬い上げるようにしていると、何かと美味しい思いができます。要は、情報収集はこまめにやりましょうってことなんですけど。

さて、'０２年２月１７日（日）は、ただでさえごった返す週末の中華街ですが、この日は春節関連の行事があって、さらに拍車をかけてごった返しておりました。お店に入りそこなったひとは肉まんでお茶を濁すか、寒空の下並ぶハメになります。

しかし、予約を入れてあるので何の苦もなく個室に通されテーブルにつくことができました。

• 場 所：龍門
  
• 日 時：２００２年２月１７日（日）午後２時００分〜
  
• 参加人数：６名
  
• 予 算：ひとり４，０００円
• 予　　約：あり　←　実際に店を訪れていろいろ相談した
• リクエスト：
  • 福建人向けの味付けにすること
    
  • 全ての料理を福建料理で構成すること
    
  • 化学調味料をできるだけ使用しないこと
    
  
  福建料理は、かなり癖のある醗酵調味料（酸筍）を使います。お店の方は、この調味料のニオイは日本人が苦手とするところだと思っています。特に福建料理を目的として食事に行くのなら、味付けについては、必ず福建人向けにするようにリクエストしてください。これを言わないと、なんの特徴もない料理になってしまいます。

1.前菜	2.豚肉のスープ	3.芝海老の葱炒め	4.浅蜊とハルサメの土鍋煮	5.空心菜炒

• １．前菜
  鹵味の盛り合わせ（豚レバー、豚耳、豚足）。トロっとした感じの仕上りで、いきなり美味い。このとろけ具合が実にいい感じだ。他では味わったことがない感触。
  
  
• ２．豚肉のスープ
  福建料理特有の豊かな香りを放つ醗酵調味料が使われたすばらしい一品。豚肉の他にも野菜が沢山入っている。もし、個室でなかったら他の客からは苦情がでるかもしれない臭いである。これはいい。
  
  
  
• ３．芝海老の葱炒め
  海老がいい具合に醤油を吸っていて、いい感じ。旨さがあとからやってくるという。何て表現したらいいんだろう。
  
  
• ４．浅蜊とハルサメの土鍋煮
  ハルサメが浅蜊の旨味を存分に吸って、さっぱりとした素晴らしい料理となって登場だ。ほんと、ハルサメってエライよね。
  
  
• ５．空心菜炒
  これは、比較的いろんな店で食べられる野菜炒め。ニンニク風味が効いていて、よろしい。

6.牡蠣のお好み燒き	7.太刀魚の醤油煮込み	8.牡蠣フライ	9.伊府麪	10.杏仁荳腐

• ６．牡蠣のお好み焼き
  牡蠣をよく叩いてペーストに近くなったものを、餅に塗りつけて焼いたもの。こういうのは、初めてだ。もう少し牡蠣の風味が残ればいいと思うのだが、興味深い料理だった。
  ※後日、再度この料理を食べてみたら、今度は風味豊かな仕上りで満足でした。宴会のときは、たまたま出来が悪かったのでしょう。
  
  
• ７．太刀魚の醤油煮込み
  タカの爪でピリカラ風味を付けた太刀魚の煮込み。白飯によくあう料理で嬉しくなる一品。皿に残ったあんは、ご飯にぶっかけてかき込みました。うまいっす！
  
  
• ８．牡蠣フライ
  福建や廣東系の料理店の冬場の牡蠣料理は楽しみのひとつ。とっても美味しいですから試してみてください。もちろん、龍門のも美味しかったです。
  
  
• ９．伊府麪
  コースの締めの炭水化物系の料理。店に行って、これ単品で食べるのならとても美味しいと思うのですが、この日のコース料理の締めとしてだと、押し出しが弱い感じがします。もう少し、メリハリがあるともっとよかった。組合せって難しい。
  
  
• 10．杏仁荳腐
  これは、もう…笑って済ますほかないかな。初めから期待してないし。安っぽい甘さがないのが救いだった。
  
  

料理全般が薄味で軽やかな仕上りでした。中国料理は脂っこくてコッテリした料理だと頑なに信じているひとには、驚くばかりの味付けだと思います。それだけに、ひとによっては物足りなく感じられるかもしれません。
今回は、１０品でお腹が一杯になりましたが、あとでもたれることもありませんでした。これからも楽しみな店です。