東京上野の醉仙樓は，私が大昔にアルバイトをしていた白山眼鏡店の本店のすぐ近くにある。飲食店がひしめく雑居ビルにひっそりと混ざっている。

アメ横で輸入菓子を買ったり，スニーカーを物色したりと久しぶりのアメ横を楽しむ。ついでに元アルバイト先に挨拶に行ったところ，だれも知っていひとがいなかった。さすがにふた昔前のひとは移動したり退社したりしてしまったのだろう。こころなしか淋しいものだ。

約束の時刻になったので，醉仙樓のあるビルに向う。おんぼろのエレヴェータを降りると，そこはかつてはお好み焼き屋かなにか和風な店をを居抜きで買い取った感じの店があった。ちなみに自動ドアのセンサーの感度が悪いらしく，従業員や常連はみなセンサーに手をかざしながら出入りする。つまり，ハタからみるとみんな手を振りながら出入りするわけでいささか微笑ましいのである。

今回は知人が設定してくれた宴会で，予約時に「海鮮を出すように」とのリクエストを添えたそうだ。予算は伝えなかったとのことだったが，「どうころんでも高くなりようがない」とのこと。値段的にはそういう店だと思っていただきたい。

ちなみに，この店では日本語は満足には通じない。細かいリクエストがあるのなら，上海周辺の料理に詳しくかつ上海語か北京語のできるひとを同伴する必要があるだろう。そういった条件が整わないのなら，状況は厳しいものになる。そういう店であるということを十分に知ってから出かけるように。もともと上海人相手の店なので，仕方がないのだ。

三黄鷄	糟香螺	醉蝦	腐乳肉	麻辣[月土]皮

• 三黄鷄
  茹で鷄。タレをつけて食べる。いい感じだ。
  
• 糟香螺
  田螺を薬味をつかったあわせ調味料でつけたもの。臺灣料理店で食べられるシジミの醤油漬けに紹興酒の風味をつけた味だといえばわかってもらえるだろうか？生臭さとかそういう不快な感じは一切ない。酒の肴に延々これだけ食べてもいいくらい。
• 醉蝦
  蝦の紹興酒漬け。風味は糟香螺に似てしまった。糟香螺の後では分が悪い。
• 腐乳肉
  脂身がほどよい感じについた肉を紅腐乳で煮込んだもの。冷めてる！。ちゃんと温かければ絶対に旨い一品だ。
• 麻辣[月土]皮
  ハチノスの辛味煮込み。いわゆる麻辣火鍋からハチノスだけを引き上げたものと思ってくださればいいと思います。強烈な辛さが刺激的でいくらでも食べられそうだ。

蛋黄荳腐	大腸粉絲	小黄魚燒荳腐	FRIED RICE CAKE	雪里髪[髟/共]黄魚湯	凍豬朶

• 蛋黄荳腐
  塩玉子の黄身を荳腐・蝦・枝豆と煮込んだもの。これは旨い。凄く旨い。ただ，荳腐があんまりいいものじゃないんだよね。しかし，この店でそういう御託を並べてどうするんだ？ということ。最高の材料を使って欲しいのなら，それなりの店で再現してもらえばいいだけのことだ。
  
• 大腸粉絲
  これは，大腸と粉絲の土鍋煮込み。ちょっと大腸が臭う。臭くて食べられない。日本と中国では解体時の腸の処理に違いがあるのだろうか？日本では無理なのか？
• 小黄魚燒荳腐
  イシモチと荳腐の煮込み。特筆するほど印象はない。
• FRIED RICE CAKE
  本当は料理名失念。ご飯を固めて揚げただけのもの。鏡餅を割って揚げたのを思い出す。あるいは，焼きおにぎり。小腹を満たすのに最適。
• 雪里髪[髟/共]黄魚湯
  寧波の名菜を再現してもらった。高菜の塩漬けとイシモチのスープ。もちろん，材料は日本であるもので代用である。魚の臭みなど全くなく，素晴らしい一品だ。
• 凍豬朶
  豬の耳のにこごり。甘味がつけてある。普通，前菜に多い豬の耳であるがこれは甘いのでデザート的に最後に持ってきたのであろうか？けっこう好きな味である。

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LAST MODIFIED 9/Oct/2000 MAINTAINED BY T.K.

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